農業は労働基準法の適用除外?

先週、ある農業法人さん(株式会社)にお邪魔して、就業規則の現地相談会を行ってきました。

農業の場合、やはり一番のポイントは労働時間のところでしょう。ご案内のとおり、労働基準法第41条はこんな風に定めています。

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第41条  
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一  別表第1第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 、三  略
 
この別表第1の六号・七号がこちら
六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業
 
 

ここで問題になってくるのが、きゅうりやトマトのハウスでの周年栽培です。

最近の、労基署の考え方はこうです。「農業が適用除外となったのは、農業という事業は天候などの自然条件に左右され、また1年のなかで農繁期と農閑期がはっきりしているからである。」「天気の悪い日や農閑期に十分休養がとれるのだから、労基法によって労働者保護を図る必要はないとの立法趣旨によるものである。」

「ところが、 きゅうりやトマトのハウスでの周年栽培は、天候にも左右されないし、一年中収穫できて農閑期がない。ならば、適用除外とする必要はない。」

という理屈で、労基法が適用される(あくまで労働時間・休憩・休日のところを指しています。その他はもともと労基法が適用されますので、誤解のないように)との解釈です。もしそのように当て嵌めるのであれば、法律の条文を修正すべきなのでしょうが、今のところは労基署の運用によっているようです。

そうなると、何が起きるか。そうです!36(サブロク)協定です。時間外労働をさせるときは、これを届けていなければ法律違反となってしまうのです!36協定とは、労働基準法第36条により従業員の過半数で組織する労働組合(労働組合がないときは、従業員の過半数を代表する者)との間で協定を締結し、労働基準監督署長へ届出るものです。36協定を届出しないで、1週40時間・1日8時間(法定労働時間)を超えて働かせると、労働基準法違反となって6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます!

適用除外の適用の問題は、結構重い課題なのです。農業だから、何でもアリではなく、農作業の形態をよく考えてみる必要がありますね。